特集 最近の性病問題
軟性下疳菌類似菌(靑木等)に就いての説明
靑木 義勇
1
1長崎大学(細菌学)
pp.3-8
発行日 1953年11月15日
Published Date 1953/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201279
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非淋菌性尿道炎に関して執筆を求められたが,我々(靑木,河合,中村,白木,原田)が佐世保市の街娼に就いて調査し又分離した菌は,それが尿道炎を起すという確証を附された時始めてこの標題下での記述が許されるのであつて,我々の現在の知見では如何とも為し難い。ただこの菌は,たとえ尿道炎に無関係なものとして葬り去られるとしても,軟性下疳菌類似菌として性病の診断に確かに一つの意義を持つている。この意味で既報日本医事新誌,第1491号,昭和27年11月及びYokohama Medical Bulletin, Vol. 3,No. 5, Oct. 1952)の要点を再記し,その後の状況や知り得た各地の類似事態にも触れたいと思う。
佐世保の米海軍基地の一部に性病治療所V. D. Dispensaryなるものがあり,如何なる径路でここに患者が送られるかは知らないが,遊んだ米兵の一部が入所せしめられ検査や治療を受ける。淋菌は発見されない,梅毒は否定され,Frei反応も陰性,それなのに―大部分は尿道からであるが―軟性下疳菌を見出す症例が増えたと先方は称する。有病の場合直ちにcontact reportが発行されtracingが行われ,感染源容疑の女の保健所出頭となる。
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