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1952年春季東京地方にみられたインフルエンザBに關する研究—非流行期に於けるインフルエンザの一發生樣式
甲野 禮作
1
,
芦原 義守
1
,
内山 敬司
2
,
小笠原 晃
2
1公衆衞生院衞生微生物學部
2傳染病研究所第8研究部
pp.9-13
発行日 1952年10月15日
Published Date 1952/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201113
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I.疫病的事項
1951/52年の冬はインフルエンザ(以下I)に關しては平穏な冬で,全國何處からも流行の通報はみられなかつた。ところが,3月初旬になつて東京都千代田區九段の警察學校にIが發生したとの報告があり,われわれは3月14日に現場に行つて,都側の疫學調査に平行して含嗽液,血清の採取を行つた。警察學校は舊近衞第一師團の兵營にあつて,全國から募集せられた生徒を此處で約6ケ月間訓練し,警視廳管下の警察に配屬する仕組になつている。この間生徒は舊兵營内に幾つかの組に分れて,組單位の團團密集生活を共にする。
今回のIの流行状況は,第1圖に示す如くで1月以降3月18日迄に總數821名(職員を含む)中感冒患者476名(罹患率58%が發生した。明らかにIと思われる流行は2月末から始まり3月11日に頂點に達した。各組毎の罹患率は最高78%,最低16.3%であつた。臨床的には定型的インフルエンザで,他の流行にきわ立つた特徴はないが,鼻出血を示したものが13.0%あつたことは稍注目された。同樣のことは同型のビルースによる1昨年の淡路島の流行でも觀察せられた1)2)。生徒の出身地的の罹患率には有意の差はみられなかつた。流行はちようど訓練の終る時期に當つていたので,3月中旬には大部分の者は學校を卒業し,都内警察に分散配屬せられていつた。
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