研究報告
埼玉縣小見野中學校に發生せる「アイスキヤンデー」に依る集團食中毒と誤傳されたる推定泉熱について
中村 廣夫
1
,
關口 軍治
1
,
林 喬
1
1埼玉縣公衆衞生課
pp.46-47
発行日 1952年7月15日
Published Date 1952/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201078
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緒言
異型猩紅熱(泉熱)及びその類似疾患について昭和4年泉氏の記載を始めとして齋藤氏及び多數の先輩により報告されているが殊に伊澤氏が本症を獨立した一新疾患と見做して之を異型猩紅熱と呼稱して以來學界の注目を惹くに至つた。以來全國に多數の報告があり,昭和17年名古屋地方に於ても落合氏により本症の存在が確認された。本症の病原體は今尚確定をみない状況である。余等は培玉縣小見野中學生に昭和25年5月2日に發生せる冷菓(アイスキヤンデー)による集團食中毒と誤傳された推定泉熱發生事例に遭遇した。即ち發生は昭和25年4月28日小見野校,南吉見校,八ツ保校と共に大宮公園に遠足し公園に於ては三校公に全く同樣の行動をして午後3時頃歸路につき往復とも同列車で少しの相異もない。然して患者發生は小見野校の生徒のみが發生せる點を考察して檢討するに各校の異なる點は夫々乘降驛を異にし夫々陸路を往復とも徒歩の行程である。よつて特に徒歩間の飲食關係に起因せるものにあらずやとの想定により沿線飲食關係の嚴密な調査した結果略々泉熱と斷定するに至つたので稀有な事例として報告する次第である。
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