研究報告
勞研式塵埃計による塵埃標本作製法の改良について
酒井 恒美
1
1廣島醫科大學衞生學教室
pp.40-41
発行日 1952年1月15日
Published Date 1952/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200988
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I.緒言
勞研式塵埃計による塵埃計測に當つて,その操作法の如何が計數値に多大の影響を及ぼすことが多くの研究者によつて指摘されている。石川,江田兩氏1)は塵埃粒子を「カバーグラス」に吸着せしめる迄の操作を詳細に檢討し,松藤氏2)は照明方法,顯微鏡の擴大率,光源照度の計數値に及ぼす影響に就いて報告している。而して顯微鏡の照明方法としては,暗視野装置を用いて塵埃を數えるのを標準にするのがよいと松藤氏3)も述べて居り,又現在我が國に於て最も廣く行われている方法であろう。然しながら從來暗視野による照明法と呼んでいるものは,明確な指示がなく極めて曖昧なものでなかつたろうか。
型の如く製作された塵埃標本に於ては,塵埃粒子は「スライドグラス」の上面から紙「リング」の厚さだけ空氣をへだてゝ上に位する。而して平面鏡によつて反射された並行光線は晴視野「コンデンサー」によつて開口率1.1以下の光線は制限され,「コンデンサー」を通過した開口率1.1以上の光線は空氣の層に至つて全反射される。從つて從來の塵埃標本を以てしては全く正規の手續きによつて嚴密な暗視野照明法を行うことは出來ないことになる。この點に關しては松藤氏6)もMikropolychromarの使用に際し標本を裏向けにすべきことを指摘しているが,暗視野装置の使用の場合も全く同樣のことが云える筈である。
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