特集 公衆衞生に必要な諸検査
塵埃測定法
芦沢 正見
1
1東京大学公衆衞生学教室
pp.30-35
発行日 1954年2月15日
Published Date 1954/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201330
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1.塵埃測定の意義
公衆衞生上塵埃が問題となるのは,現状では何といつても鉱山や工場の機械が時々刻々つくり出している空中浮遊塵埃であり,その測定は人体への危害を察知し,対策を立てる上に役立つよう心がけられねばならない。塵埃の害から免れる殆ど唯一の途は,発塵をなるべく少くするように設備や装置を改善することでしかないのであるから,もしも測定の結果少くとも恕限度を超えるような場合は常に設備装置の改善を必要とし,衞生工学と公衆衞生技術者の協同作業が始められねばならぬことを示唆しているものである。
では塵埃の採取はいつどんな風に行えばよいのだろうか。塵埃飛散の度合は,発塵を伴う操作によつて極めて大きく動揺するものであるから,調査の対象となる発塵工程を分析的によく承知していて,その作業操作に呼吸を合わせるようなつもりで採塵をしないと,測定成績の意味を大半失つてしまうようなことが少くない。空中浮遊塵埃の害は吸入によつてひきおこされる塵肺が一番問題となるので,作業現場で作業者の鼻腔の高さで採塵するのである。
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