技術講座 血液
骨髄穿刺標本作製法
野上 小民
1
,
高木 康
2
1昭和大学病院臨床検査部
2昭和大学医学部医学教育推進室
pp.719-723
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100082
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新しい知見
成人の急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia,ALL)は,予後不良とされている.そのうち30%の症例は,染色体検査:フィラデルフィア染色体(Ph染色体)陽性,遺伝子検査:BCR/ABL mRNA陽性であり,形態学的にはリンパ球系芽球細胞優位(POD染色:陰性),細胞表面マーカー:CD10,CD19,CD33,CD34,KORSA陽性である.すなわち二系統の細胞系列の性質を併せ持つ,いわゆるbiphenotypeといわれている.このような症例は,通常の化学療法では治療不可能である.近年開発されたBCR/ABLチロシンキナーゼの阻害剤であるメシル酸イマチニブが,Ph染色体陽性の慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia,CML)のほかにPh陽性のALLにも効果があると報告された.国内でも初期の寛解導入療法後に化学療法とイマチニブとを併用する多施設共同試験が進み,効果が期待されている.このような症例では,標本の形態学観察と併せて染色体検査,遺伝子検査,細胞表面マーカーが必要である.
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