海外文献
老人病學の公衆衞生への寄與,他
田多井
pp.13
発行日 1951年7月15日
Published Date 1951/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200872
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合衆國では現在,60歳以上の老人が凡そ,1,400萬人もおり,Klumppの指定では,1980年になんと總人口の2/3が45歳以上になる。このように老人の割合がふえてきたのは,最近の急連な壽命延長の當然の歸結である,試みに,古代からの壽命の推定を,メトロポリタン保險會社の資料に求めると下圖のようになる。1)
このような動向は,勿論,傳染病豫防その他公衆衞生緒對策の勝利とみることができるが,これにともない公衆衞生の分野に,また新しい問題がおこりつつある。新しい目標として,老人性疾病,したがつて主に器質的な慢性病による死亡と不能力を防くことが問題になる。この意味における現在の主流の一つは癌對策であつて,それには,もつばら早期發見と治療,そのための大衆教育に重點がおかれている!他の一つは血管心臓病,とくに動脈硬化症をいかにしてふせぐかということで,これに關する研究が,いま熱心にとりあげられている。實際,合衆國のみならず日本においてさえ,結核をのぞけば,これらが主要死因となつているのだから,我々としても決して對岸の火災視するわけにはいかないし,能力ある人々をおかす點において急性傳染病をはるかにこえて,大きな社會醫學の問題になつてくる。
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