特集 鼠族昆蟲
最近に於ける食品衞生の動き
遠山 祐三
1
1予防衞生研究所食品衞生部
pp.282-285
発行日 1950年5月15日
Published Date 1950/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200642
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最近我が國民の公衆衞生に関する運動が日増に盛んとなり,新憲法にも政府の機構にも,又一般國民の日常生活にも,此の氣運が次第にきざしつつある事は誠に喜ばしい現象である。凡そ公衆衞生の包含する範囲は極めて廣く,特に食品衞生に関する部門は人生に寸時も切り離すことの出來ない重要な事柄であるため,終戰後の第一國会の昭和22年12月法律として,食品衞生法が制定された次第である。此の法律は,從來比較的漠然と考えられていた食品衞生に関して,食品の汚染,腐敗,変質は勿論のこと食品の本來有する品質を低下させる樣な代用品を混入する,所謂僞称や看板に僞のある樣な僞称をも,積極的に防ぎ取締る事が眼目とされておる。從つて此の法律の目的とする所は,單に食中毒の防止という樣な消極的な面斗ばかりでなく,食品の純正を嚴重に保持するという点にある。
今回厚生省に於ては,我が國衞生檢査施設で現在行われている細菌檢査,臨床檢査及び食品衞生檢査の方法が,可なり多種多様で,其の上正確を欠くものの少くないことを認め,之等術式の標準法を制定し,之を全國に普及徹底して檢査の適正を計る事により,医療内容の改善と公衆衞生の進歩発展に寄與せんとする目的の下に,厚生省内に衞生檢査指針審議会を設け,其の一分科として食品衞生檢査指針を作製することとなつた。
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