特集 鼠族昆蟲
最近の環境衞生行政上の諸問題について
松田 心一
1
1厚生省環境衞生課
pp.260-262
発行日 1950年5月15日
Published Date 1950/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200635
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
現在わが國の環境衞生行政の主流をなしているものは,廣義の所謂衞生工学施設(Sanitary Engineering)としての上水道,下水道,汚物掃除鼠族昆虫駆除等の事業を初めとし,食品衞生,乳肉衞生,公共の場所の衞生,建築衞生等の業務であるが,最近何れもその業務が,内容に於ても,業績に於ても,著しい進境を示して來ていることは事実である。その反面に於て,更にまた諸種の進歩的で特異な構想やテーマを必要とすると同時に,行政上複雜で困難な問題にも遭着している事例が少くない。
先づ汚物掃除事業に就ては,戰後に於ける國内,特に都市の不潔状態にかんがみ,その強化をはかるため,昨年二月閣議決定を経て,公共事業として清掃施設の整備充実を期するよう努力を続けたが,國家財政の見地から充分な國庫補助予算等が確保出來なかつたことは至極残念なことであつた。しかし汚物處理施設を整備する財源に当てるため,目的税としての共同施設税を徴收し得るように,昨年度に於て地方税法の改正せられたので,それに伴つて全國の数都市では既にこれを実施に移し,またはその実施準備中のものもあることは,この事業の進展上甚だ力強いことであつて,今後この制度が清掃事業の強化のために,漸次他都市に於ても実施にうつされるものとわれわれは期待している。
Copyright © 1950, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.