特集 鼠族昆蟲
人と動物に共通な病氣に就ての最近の研究
北岡 正見
1
1予防衞生研究所
pp.255-259
発行日 1950年5月15日
Published Date 1950/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200634
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まえがき 人も動物の仲間であるが特に人と動物と断つた理由は,人の疾患が中心であるからである。更に動物の中には哺乳類を始め,極めて多くの種類の動物が包含されているが,ここでは人と関係の深い家畜,家禽並に囓歯類の一部に限定して話を進めることにする。
さて人の病氣は医学方面で,家畜,家禽のそれは獸医畜産の方面で夫々研究が進められているが,之等研究の日的は,人類が如何にすれば健康な生活を樂しみ得るかという事である。人の健康は人のみを対象とした研究では完全に保たれない。人類は物質的に,時間的,更に空間的に関聯のある各種動物,植物並に鑛物等と入り乱れ,之等と不可分の生活を営んでいるからである。此に述べる事柄は医学或は獣医学に於て夫々別個に縦に研究され報告されていることであり,またこの両者の疾患を相互に媒介する昆虫に就て,日進月歩の発展をなしつつある衞生昆虫学は,われわれに幾多の示唆を與えているのであるが,この三者を横に廣く通覧し,以て人の保健の參考に供したいのである。このような線に沿つて既に單行本(Hull(1))が刊行され又最近ではMyer(2)の廣汎な綜説,滝田(3)等の單行本も発表されている。
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