論説
デモグラフイーと公衆衞生
pp.125-127
発行日 1949年9月15日
Published Date 1949/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200519
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人類の數の問題が戰後再び世人の注意をひいてきた。人口問題は古くて新しく,新しくて古い。人口問題といえば,Thomas R. Malthusを思い出すが,Malthusの人口理論も既に今から150年以前のものである(1766-1834年)。人口の記録を統計的に取扱つたのは更に古いものであつて,エヂプト・ペルシヤ・シナ・ギリシヤ・ローマ等の國々では,税を課する必要から行われていた。人口を研究する學をDemographyというが,demosはギリシヤ語で人口であり,graphsは書くの意である。廣義でいえば,Demographyとは人間生活の統計學的研究であるが,主として扱うのは人の生殖,成長,婚姻,疾病,死亡というような生活現象であり,更にこれに關聯して政治社會,教育,宗教,衞生等をも檢討する。生物學,醫學及び統計學の進歩と,人の主として社會環境條件の變遷に伴つて人口學も進んでいる。
このようにDemographyは人類の地球上の消長を取扱うものであるから,人類を生物學的に觀察する衞生ともつながつている。
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