公衆衞生の發達・6
疫病の確認とその豫防—公衆衞生の出發
杉 靖三郞
pp.159-160
発行日 1950年10月15日
Published Date 1950/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200731
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18世紀にはいつて,國家が公衆衞生の一面を管理しはじめた。それは18世紀以來19世紀を通じてペストが流行したので,それが侵入することを防ぐために,港々に檢疫所を設けたのである。近東からペストがヨーロツパにはいつて流行を見たのは1709年にロシヤであつて,次いで中部ヨーロツパに擴がり,更に1720年にはマルセイユとチユーロンに流行つた。
この18世紀のマルセイユの流行が,イギリスにはいらなかつたのは,港に檢疫所を設けたからであつて,疫病を喰いとめる效果があつたのである。この檢疫所というものは,現在では,古臭い,厄介な,そして不人情なものと考えられがちであるが,實際に大きな效果があつたのである。そして,それにつづいて避病院が數多く建てられるに至つた。
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