原著 最近における寄生蟲の諸問題・2
學術研究會議傳染性疾患研究特別委員會寄生蟲科會報告
Spelotrema屬吸蟲とSchistosoma屬吸蟲との病原學的比較研究
尾形 藤治
1
1東京文理科大學
pp.459-462
発行日 1949年6月25日
Published Date 1949/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200483
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Spelotrema屬吸蟲は本來海鳥寄生のものと思惟されるが,本屬の1種S. brevecaecaが比島に於て人畜に寄生し,注目すべき病害を示している1例がTubangui及びAfricaの兩氏によつて報告されている。それによると患者患畜は心臟の異常肥大及び擴張,花冠状血管の硬化,肺臟の膨張及び充血,肝臟,脾臟,腎臟の充血,腦膜の出血等を來し,心筋,腦及び脊隨に蟲卵の介在を認めている。
以上の症状はSchistosomiasisのそれと酷似するものがある。而して本群吸蟲は本邦産海鳥類にも見られ,その中間宿主は半鹹水産甲殼類(えび,かに)及び貝類等であつて,之が人畜への感染の惧れも充分考えられるので,本研究者は此の種吸蟲の正體を明かにし,人工感染によりその症状を日本住血吸蟲症と比較研究を試みんとして表題の内容による研究を續行し來た次第である。
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