研究報告
生物學的筋肉種屬鑑別の一新法
小野 一男
1
1岩手醫大・二宮内科
pp.156-157
発行日 1949年10月15日
Published Date 1949/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905476
- 有料閲覧
- 文献概要
(1)
諸種動物の血液は外觀上その種屬鑑別がつかないが,之と同様に筋肉に於いても單にその色調等では果して何種動物の筋肉であるか判明しない事が多く,特に日數が經つて筋肉が古くなつた様な場合にはその區別は一層困難となる。從つて比較的容易且つ適確に筋肉の種屬鑑別が實施出來得る様な方法がないものであらうか。
勿論從來としても筋肉の種屬鑑別法が全く無かつたわけではなく,Uhlenhuth(1901)が創始した血清沈降素血清を使用すると云う方法が法醫學上主として用いられて居つた様である。此の方法は筋肉浸出液を作り,之を抗原として血清沈降素血清に作用させて沈降反應を以て檢するのであつて,當時Uhlenhuth等によつて推奬された方法である。然し乍ら此の方法はWassermannが云える如く單に特異なる蛋白質鑑別法に過ぎないのであつて,之を吟味すると後述の如く幾多の缺陥が伏在して居るのを知るのである。
Copyright © 1949, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.