原著
ツベルクリン皮内反應強度と發病との關係
吉岡 博人
1
,
日比 貞子
1
1東京女子醫科大學衞生學教室
pp.179-188
発行日 1947年9月25日
Published Date 1947/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200177
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I 緒言
ツベルクリン皮内反應の必要性は廣く認められ,その應用範圍も次第に擴大されつゝあることはよろこぶべきことと言はねばならない。現今に於ける結核蔓延状況では感染防止は恐らく不可能であり,從つて結核豫防には初感染の早期發見が肝要であることは今更贅言を要さない。そこで,早期發見の方法として普遍的に廣く行はれ得るのはツベルクリン皮内反應であるから,陽轉時を知る爲にも,また感染程度を知る爲にも,ツベルクリン・アレルギーの發現状況に據る他はないわけである。
いま,豫防的立場よりツベルクリン反應に於ける強弱の問題を採り上げてみたいと思ふ。ツベルクリン皮内反應に對する皮膚感受性によつて,臨牀所見或ひはレントゲン所見と直接に結びつけ,活動性の診斷の一助となさんとせる學者も見受けられた。しかし,誰もが首肯し得る立證の缺除が看取され,また,現在までの吾々のもつた資料では,ツベルクリン反應強度とレントゲン所見との間に於ては一定の相關性の存在すらみとめられなかつたのである1)2)。しかし,時日の經過によつてその感受性は低下すると言ふ意味から,ツベルクリン皮膚感受性の高いものは發病者が多いとせる3)報告もある。
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