綜説
勞働基準法と醫學
石川 知福
1
1公衆衛生院
pp.173-178
発行日 1947年9月25日
Published Date 1947/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200176
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昭和22年5月3日は新憲法が實施された日として,新日本が永久に記念すべき日となつた。吾々醫學に關與して居る者としては新憲法中第25條『すべて國民は健康で文化的な最低限度の生活を營む權利を有する。國はすべての生活部面について,社會福祉,社會保障及び公衆衞生の向上及び増進に努めなければならない』は特に忘れることの出來ない條文である。それと相竝んで吾々國民の勤勞生活を規定した重要な條文として第27條がある。即ち『第27條:すべて國民は勤勞の權利を有し義務を負ふ。賃金,就業時間,休息その他の勤勞條件に關する基準は法律でこれを定める。兒童はこれを酷使してはならない』といふのがこれである。本年3月18日には衆議院で可決され,3月26日には貴族院を可決通過した。勞働基準法は,この憲法の第27條に基づいてゐる。この勞働基準法は目下その細かい實施令の案が厚生省勞働基準局で吟味されつつあるので,遠からずその成案が公聽會にかけられ愼重なる検討が加へられた上で,發令され,實施にうつされることであらう。
日本産業衞生協會内には,勞働基準法の衞生關係部面を檢討するが爲の委員會が,昨年昭和21年から設置されて度々の會合が催された。施行令に關する草案についても同委員會案を作り,之を當局の參考に供したのであつた。
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