總説
公衆衞生と死亡の改善
渡邊 定
pp.259-265
発行日 1947年1月25日
Published Date 1947/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200089
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一國又は集團の衞生状態を知るには二つの方法がある。一つは疾病の調査であり,他は死亡の研究である。此の中,死亡の研究は死と云ふものが確定的事實であるので比較的簡單に綜合的統計的な結果が得られ,公衆衞生の對策を樹つる上にも其の施策の結果を判断する上にも指標となる。各國は動態統計の主要なる事項として死亡統計を年々發表して居り,別に死因に對して死因統計が發表せられて居る。吾人は此等の死亡統評を活用することによつて或る國民は如何なる壽命を有するや,又た如何なる疾病で死亡するか,其の死因による死亡改善に如何なる對策を樹つ可きか,醫學は果して全幅の能率をあげつゝありや,公衆衛生普及が生活の向上と相俟つて如何に死亡を改善しつゝありや,等の問題を明かにすることが出來るのである。
公衆衛生が進歩普及すれば死亡状態は改善せられることは自明の理であるが,或る國で公衆衞生の進歩が斯々であり其の普及の方法及び普及の實際が斯々であると云ふことが明かなる場合に,其の國の死亡状態改善の實況を審らかに分析して観察することは,他山の石として甚だ有意義であるので,本文では最も公衆衞生の發逹普及せる米國に於ける死亡改善の實態を観察しつつ我國の死亡改善状況を考へてみたい。
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