特集 認知症のケア
地域包括ケアシステムにおける認知症高齢者への支援のあり方
筒井 孝子
1
1兵庫県立大学大学院経営研究科
pp.672-677
発行日 2014年10月15日
Published Date 2014/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401103109
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今日,国内外において,その対策が急務とされているのは,超高齢化社会の到来に伴う慢性疾患患者および認知症高齢者の増加による社会保障費用の増大の抑制である.とりわけ,認知症対策については,英国をはじめとして,フランスやオーストラリアなどにおいて,「国家認知症戦略(National Dementia Strategy)」と呼ばれる認知症ケアに関わる政策やサービスの抜本的な改革ビジョンが示され,その達成に向け,対策が強化されている.
日本でも2012年9月5日に,厚生労働省では「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」1)の策定がなされた.これは,認知症施策検討プロジェクトチームが2012年6月18日にとりまとめた「今後の認知症施策の方向性について」2)に基づいたものであるが,この報告にある,今後,目指すべき基本目標「『ケアの流れ』を変える」ために前提とされているのは,これまで説明されてきた「地域包括ケアシステム」の構築である.つまり,わが国が目標としている認知症ケアは地域包括ケアシステムの実現において解決されると考えられている.したがって,地域包括ケアシステムが構築されない限り,日本の認知症ケアの未来は危ういともいえる.
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