特集 公害・環境問題の変貌と新展開
扉
pp.517
発行日 2014年8月15日
Published Date 2014/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401103068
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環境問題は公衆衛生の重要課題です.わが国の高度経済成長期の環境問題といえば,水俣病やイタイイタイ病などで代表される公害病や典型7公害(大気汚染,水質汚濁,土壌汚染,騒音,振動,地盤沈下,悪臭)への対応が主要テーマでした.これらは特定の原因が存在し,不特定の健康被害者が比較的狭い地域に存在することが多く,原因の除去により健康被害を防止・軽減できるという特徴がありました.これに対して最近の環境問題は,人だけでなく植物や野生動物などの広い範囲に被害をもたらし,被害が広域に及び,国際的な共通課題として認識されるものが多くなりました.
このような中,公害問題の原点とされる水俣病を教訓として,昨年(2013年)10月に「水銀に関する水俣条約:the Minamata Convention on Mercury」が採択されました.水俣病と同じような被害を繰り返してはならないという決意を込めて,ミナマタの名が国際条約の冠に刻まれました.水銀公害の被害が世界的に広がり出したことへの強い危機感が伝わってきます.
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