連載 愛を伝える人たち・1【新連載】
お母さんと初めて歌う歌は「ぶあぶあぶあ」
東野 洋子
1
1楽団あぶあぶあ&ミュージカルチームLOVE
pp.73-76
発行日 2007年1月15日
Published Date 2007/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100322
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それは,とても美しい光景でした.
競技場のスタンドを埋めた2万5千人の観衆,彼らが見つめるグラウンドには,若いダンサーおよそ2,000人がひとつの大きな輪をつくっていました.輪の中には,のじぎくの花を手に,笑顔で応えている全国からやって来られた5,000人のアスリートたち.車イスに乗っている人,盲導犬・介助犬をともにしている人,ダウン症や自閉症の人たち,手や腕を失った人もおられる.
2006年10月,秋晴れの神戸.「全国障がい者スポーツ大会・開会式」のフィナーレで,アスリートたちを歓迎して歌うダンサーたちの歌声に,スタンドの万人の歌声が重なっていきました.
♪ありがとう この気持ちを きみに 伝えよう ありがとう ありがとう 大切な人へ……♪
大会テーマソング“きみに伝えたい”のリフレインワード「ありがとう」を会場の3万人が1つになって歌う一瞬.万人の人々の歌声に気持ちがふわっと重なって,心が重なっていくような感じがして,目の前の何もかもが自然に美しく感じられた……そんなひとときでした.スタンドの風は東から西へ吹いて,日差しはやわらかで,人はみな和んでいるのが伝わってきました.
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