特集 出生前診断
出生前診断の法律問題
丸山 英二
1
1神戸大学大学院法学研究科
pp.181-186
発行日 2014年3月15日
Published Date 2014/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102968
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はじめに
2012年8月末に新しい方法を用いた非侵襲的出生前検査の導入が報道された1).それ以降,出生前診断(本稿では先天異常に関するものに焦点を絞る)に対する関心が高まり,また,2013年5月には,ダウン症候群の子の両親が羊水検査の結果を誤って告げた産婦人科医院と医師を訴える訴訟が提起された2).本稿は,出生前診断およびそれに密接に関連する胎児異常を理由とする選択的中絶をめぐる法律問題を検討しようとするものである.
なお,出生前診断は目的によって,①胎児治療を目的とするもの,②分娩方法の決定や出生後のケアの準備を目的とするもの,③妊娠の継続・中絶を決定するための情報の提供を目的とするものの3種類にわけられるといわれる3).本稿では,そのうち,③の選択的中絶を前提とするものをとりあげる.
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