ジュネーブからのメッセージ
シンデレラ・ディジーズのNTD
中谷 比呂樹
1
1WHO事務局
pp.751
発行日 2013年9月15日
Published Date 2013/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102847
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顧みられない熱帯病(NTD:neglected tropical deisease)の1つであるハンセン病を,いよいよ世界の公衆衛生問題から消し去るためのWHO会議が去る7月にバンコクで開催された.「声なき人々」の「顧みられなかった」病気群が,なぜ一躍シンデレラのように脚光を浴びるようになったのか,その経緯と対策の醍醐味を語ってみたい.
まず,その前に読者の方々には聞きなれないNTDについて簡単に説明しておこう.NTDはアフリカ・中南米・アジアの熱帯地域に患者が集中している17の特定の熱帯病の総称で,年間の死亡者は50万人程度と考えられている.年間400万人にも達するエイズ・結核・マラリアなどの三大感染症による死亡者から比べると1つひとつの病気の死亡者こそ少ないものの,後遺症を残すことも多く,それが偏見・差別の引き金になるなど保健問題のみならず社会的正義の問題も惹起する疾患群なのである.
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