Editorial
「コモンディジーズに真に精通する」とは?
鋪野 紀好
1,2
1千葉大学大学院医学研究院 地域医療教育学
2千葉大学医学部附属病院 総合診療科
pp.249
発行日 2024年3月15日
Published Date 2024/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204692
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総合診療医に求められる資質・能力とは何であろうか? その1つには、「総合的に患者・生活者を診る」ということがあげられる。このなかには、「患者中心の医療」「包括的統合アプローチ」「連携重視のマネジメント」「地域志向アプローチ」など、多彩な能力が含まれる。これらは良質な医療を提供するために必要不可欠な能力であるが、その基盤として備えるべきは「一般的な健康問題に対応する診療能力」であることを強調したい。総合診療医は特定臓器にとらわれず、生物・心理・社会的要因が関わる無数の疾患と対峙する。時には患者から、「私は何の病気なのでしょう?」と問われることがある。その時に「いえ、うちの科ではないですから…」と答える時の苦しさは、患者はもとより、それを言う医師にも共通することだ。プライマリ・ケアの最前線で診療に従事する者にとって、「診断する」という能力はその幹にあるべき能力なのだ。
では、その「診断する能力」を身につけるには、どうしたらよいだろうか? その近道が「コモンディジーズに精通する」ことである。「シマウマ探し」という名言があるように、コモンディジーズはその名のとおり、日常診療で高頻度に遭遇する疾患である。いきなり稀な疾患を考えるより、まずはコモンディジーズを想起しアプローチすることは、限られた診療時間のなかでも効率的に質の高い医療を提供するために必要不可欠である。
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