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はじめに
平成20(2008)年度から地域医療連携,地域医療再生に対する保健所の関与について,保健所の企画・調整機能を支援するため,厚生労働省地域保健総合推進事業(事業者:日本公衆衛生協会,協力者:全国保健所長会)の分担事業者の1人として,保健所長や有識者を構成員とする研究班を組織して研究事業に取り組んできました.
毎年度,全国の保健所に対するアンケート調査から選定した先駆的事例について,研究班員とともに,厳寒の北海道から常夏の沖縄県まで計54か所の保健所に対し,地域医療が成立しているまさに現場においてヒアリング調査を積み重ね,地域医療連携,地域医療再生における保健所の役割や関与のポイントなどを提示してきました.
なかでも地域医療再生計画(以下,再生計画)に特徴的な事業として,ICT(情報通信技術)を活用した地域医療連携情報ネットワーク(以下,ネットワーク)構築事例に事務局として関与している保健所は,平成25(2013)年度の運用を目指して地域医師会や基幹病院,ICTベンダーを巻き込み,専門的知識の習得と並行しながら,多様な基幹病院を対象とした大規模な検討組織や執行予算に加え,さまざまな業務情報や作業工程などを適切に管理しなければならないなど,従来の地域医療連携事業とは異なって格段に困難な大規模プロジェクトと格闘していました.
その一方,山口県本庁においては,平成23(2011)年6月に厚生労働省に提出した再生計画の作成過程では保健所に関与を求めていなかったことから,平成24(2012)年度から本圏域においてネットワークを構築することさえ知らないまま,後述のような経緯からトラブルの渦中にいきなり投げ込まれました.
1年余りの試行錯誤の末,現在は地域医師会や基幹病院に対して説明会や研修会を開催できるまでに構築事業は軌道に乗っていますが,この間,保健所の関与についていろいろと考えるところがありましたので,報告いたします.
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