特集 1か月健診までのお母さんの健康と生活
核家族・孤立化時代,お父さんの出番です
二宮 恒夫
1
1徳島大学医療技術短期大学部看護学科
pp.892-898
発行日 1996年11月25日
Published Date 1996/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903433
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はじめに
父親の心理的不在や核家族化の進行など,近年の育児環境の変化は,母親の孤立,育児不安の増大,ひいては育児機能の低下を招いている。そのため,父親の育児参加が強く啓発されるようになった。父親が子どもの発達のために自然な形で育児にかかわることは当然であり,母親の単なるサポートの一環として,父親の育児参加が啓発されてはならないと考える。父親自身が家族病理としての父親機能の喪失に気づき,主体的に子どもと接することの大切さに気づかなければならない。医療・保健従事者は,父親に対し,家庭における役割意識を認識させる支援が大切である。
育児に必要な知識や技術は,基本的には子どもとの相互交流や情報などからの学習によって習得されるが,育児は,世代間で伝承される部分が非常に大きい。子どもとの交流では,知らず知らずのうちに父から母から教えられたように子どもと接している。自分の育った地域や文化の影響が子どもとの会話の中に混じっている。父親,母親がともに子どもと愛着関係を保ち家庭生活を送ることは,次の世代の子どもたちが健やかに育つための重要な要因である。
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