映画の時間
―ノーベル平和賞の裏側にあった,家族の愛の物語.―The Ladyアウンサンスーチーひき裂かれた愛
桜山 豊夫
pp.664
発行日 2012年8月15日
Published Date 2012/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102513
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本年6月16日にオスロで,1991年にノーベル平和賞を受賞したアウンサンスーチー女史による受賞演説が行われました.感動的な受賞演説でしたが,なぜ受賞演説が21年後になったのか.1991年には何があったのか.ご存知の読者も多いとは思いますが,本作品をご覧になると,この間の事情が理解できます.
1947年のビルマ,小さな少女に父親が国の歴史の話をしています.父親はアウンサン将軍,ビルマ建国の父と呼ばれる人です.側近に促され,将軍は会議に出掛けます.その会議中に,一部の軍人たちにより将軍は暗殺されます.穏やかなビルマの山々から,緊迫感あふれる将軍暗殺に至る冒頭のシーンは,まるでアクション映画を観ているようです.この短い冒頭の場面で,観客はビルマの歴史やサウンサンスーチー女史の置かれた状況を簡潔に理解し,映画に引き込まれていきます.さすがは「ニキータ」や「レオン」を作ったリュック・ベッソン監督と思わせます.
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