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昨今,国や自治体の財政難の話題が毎日のようにマスコミを賑わしている.筆者が退職して民間人になってからわずか2か月であるが,その立場で見るといくつか気になることがある.何をするにしても日本は全体的にやはり高コスト体質という印象がある.身の周りを見ても,例えばガソリンの値段が1ℓ150円は先進諸国と比べてかなり高い.ガソリン本体の価格(利益込み)にガソリン税(揮発油税と地方道路税)が固定額として53円かけられているので結局143円になり,この価格をベースに消費税を上乗せするので150円近くになってしまう.みなさん,ガソリンスタンドの領収書をもう一度よく見てください.ガソリン税の分まで消費税をかけるのは二重課税であり,関係者の間で時々問題にされている.ガソリン税は本来暫定税率であることを思えばなおさらである.運送費の価格は当然物価全体にはねかえることになる.国だけでなく国民側も高コストに慣れ切ってしまっている.これから夏に向かって需要が伸びると思われるペットボトル500mℓの水1本が130円である.1ℓだと260円になり,ガソリンよりはるかに高い.人々はそれでも高価な水を飲んでいるという意識はほとんどないように見える.水道の水を詰めて持ち歩くことはできないだろうか.
交通関係と言えば,いつも気になるのがささいな交通違反を積極的に取り締まる警察のスタンスである.交通安全のために取り締まりをしっかりやっているという主張はもっともであるが,違反チケットを切られることがあれば一度じっくり見ていただきたい.切符のうえに交通特別会計と書いてある.一般会計ならばそのまま国家歳入になるが,特別会計ではいったん国庫に入ったのち交通予算として再び戻ってくる仕組みになっている.3年前の政府事業仕分けで非合理的ということから,国立病院特別会計はじめいくつの特別会計が廃止された.特別会計の仕組みは交通違反を積極的に取り締まるインセンティブになっているとも言えるわけで,果たして健全な制度であろうか.一般会計であっても交通安全のために積極的な取り締まりを行うという高度のモラルを持って頂きたい.それでも予算が不足するということであれば,その理由を国民に堂々と訴えればよい.
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