連載 講座/健康で持続的な働き甲斐のある労働へ─新しい仕組みをつくろう・3
過重労働と過労死をいかに防止するか
森岡 孝二
1
1関西大学経済学部
pp.482-485
発行日 2012年6月15日
Published Date 2012/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102450
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過重労働による極度の疲労とストレスで斃(たお)れる人が依然として後を絶たない1).男女の労働者全体で見ると,雇用の非正規化にともなう短時間労働者の増加で,平均労働時間は減少している.その反面,正社員は相変わらず働きすぎで,2010年のNHK「国民生活時間調査」によると,1日10時間を超えて働く「勤め人」の割合は,女性でも10%,男性では33%にも上る.政府,厚生労働省は,サービス残業における不払い賃金の是正には不十分ながら取り組んできたが,長時間残業に対しては実効性のある規制をしてこなかった.
そこで本稿では,過労死防止基本法の制定の必要性にも触れて,どうすれば過重労働と過労死を防止することができるのかを,法制度や政府政策との関連で述べる.
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