特集 過労死・過労自死
過重労働による睡眠障害と健康障害
高橋 正也
1
1(独)労働安全衛生総合研究所国際情報・労働衛生研究振興センター
pp.302-306
発行日 2007年4月15日
Published Date 2007/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101026
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
健康に眠れることは私たちの生活のあらゆる面に利益をもたらす.労働者の場合,心身の健康は高まり,生産性が向上する.また,ミスや誤りが少なくなり,安全に働けるようになる.1日の半分以上を仕事に関係して過ごすと考えると,労働の質が良くなれば,生活の質も高まるに違いない1).
過重労働はいくつもの犠牲の上に成り立っている.その代表が睡眠ではなかろうか.本稿では,過重労働と睡眠との関連を次の2つの視点からとらえる.1つは,労働時間の延長の結果として生じる睡眠不足である.長い労働時間は長い覚醒時間にほぼ等しいので,これは起きている時間の量的変化に関するものである.もう1つは,仕事内容の過密化や職場の心理社会的環境の悪化など,仕事の高負荷による睡眠不全である.これは,いわば起きている時間の質的変化に関係する.以下,それぞれについて,睡眠研究の最新の成果とともに解説する.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.