特集 過労死・過労自死
過重労働とうつ病,過労自死
島 悟
1,2
,
高野 知樹
2
1京都文教大学人間学部臨床心理学科
2神田東クリニック
pp.307-311
発行日 2007年4月15日
Published Date 2007/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101027
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今回の特集のテーマである「過労死,過労自死」は,周知のように最近の話題ではない.今回の特集の執筆者である上畑先生が過労死を提唱したのは,1970年代後半,川人先生が過労自死を提唱したのは1990年代後半のことであり,過労死という用語が提唱されてからすでに数十年という年月が経っているのである.それにもかかわらず,今回こうした特集が組まれること自体非常に残念なことである.この間に多くの人命が失われて,ご遺族が悲しみに明け暮れたわけである.
いわゆるバブル経済崩壊後は,国家や企業の存亡の危機的状況と喧伝されて,強引なリストラが広範に行われて,一時はリストラを行わない企業や日本的雇用慣習とされてきた年功序列制や終身雇用制を維持する企業は時代遅れとされ,成果主義があたかも時代に合った人事評価制度であるかのように言われて,労働者の健康を守ることなど二の次とされた時代となった.最近では日本版ホワイトカラー・エグゼンプションまで導入されようとしており,過労死・過労自死が一層増えることが懸念される状況にすらある.
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