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病院における看護師の現状
日本医療労働組合連合会(日医労連)の「看護職員の労働実態調査」によると,病院の看護現場は非常に忙しく,労働条件が悪化していることがわかった.これは2005年12月までに日医労連に寄せられた看護職員2万9,000人のデータ分析によるものである.詳細をみていくと,「最近,看護業務量が増えた」との回答が62.7%に達している.また,「終業時間後の仕事時間が1時間以上」が44.1%,「年次有給休暇の取得が年間5日未満」が30.9%で,どちらも5年前と比べ10ポイント増えている.そして,このような過重労働のもとでは「十分な看護ができない」と答えた人が65.3%にもなっており,「十分な看護が提供できている」という回答は,わずか8.1%であった.その主な理由としては,「人手不足」が55.7%,「業務の過密」が53.9%である.さらに,「この3年間にミスやニアミスを起こしたことがある」は86.1%,その原因としては「医療現場の忙しさ」が84.1%を占めた.
こうした現状に看護職員は疲れ果て,燃え尽きてしまい,健康障害,休職,退職などに追い込まれている.そしてそれはさらなる看護師不足を招き,現場の業務が増加するという悪循環に陥っている.最近6か月間に,「こんな仕事もう辞めたい」と思った看護師の割合は,「いつもあった」が20.3%,「ときどきあった」が25.7%,「しばしばあった」が27.1 %となっており,どれも 5 年前に比べると増加している.
看護職員は,35.9歳という若い平均年齢の割には,健康不安(64.7%)や慢性疲労(77.6%)を訴える人が多い.仕事を辞めたい主な理由としては,「仕事が忙しすぎる」37.0%,「仕事の達成感がない」22.0%,「本来の看護の仕事ができない」17.4%,「夜勤が辛い」14.4%となっている.こういった状況の中で,看護部長や経営者はその対策に追われている.
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