連載 リレー連載・列島ランナー・38
危機管理における保健所の役割―東日本大震災での被災地派遣と放射線対策から
宮島 浩二
1,2
1前柏市保健所総務企画課
2現柏市こども部こどもルーム担当室
pp.416-420
発行日 2012年5月15日
Published Date 2012/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102426
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はじめに
私がバトンを受け取ったのは,北海道富良野保健所の保健師・青野美智代さんから.彼女とは昨年の7月に東日本大震災の被災地派遣の際,ご一緒させていただきました.
当時は被災後4か月が過ぎた頃,落ち着きを取り戻しつつあるものの,未だに失ったものに対する喪失感,将来に対する閉塞感などに包まれていた被災地でした.北海道チームは柏市チームの前日から活動していたため,健康調査の実施方法から食料の調達方法(?)まで,色々とお世話になった次第です.青野さんは,その北海道チームのリーダーとして参加されており,小さな体ながら精力的に,また明るく業務をこなされていたことが思い起こされます.
そんな彼女からリレーを頼まれたのが11月の上旬頃.その後,程なく医学書院から正式な依頼がありました.改めて過去の執筆者の方々を見ると,ほとんどが医師や保健師,いわゆる専門職の方たち.私は事務職で,これはまずいと,遅ればせながらそのとき気づきましたが,時すでに遅し.このような機会もそうはありませんので,プラス思考で覚悟を決めました.
本稿では,保健所の一事務職員として感じたことを,今般の東日本大震災での経験を踏まえてお話しし,課題として提起してみたいと思います.
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