特集 睡眠と健康
不眠とうつ,アルコール
野田 哲朗
1
1大阪府立精神医療センター高度ケア科
pp.764-768
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102230
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はじめに
1998年を境に中高年男性の自殺者が急増し,以後13年間,自殺者数3万人以上の高い水準で推移し,現在も深刻な状況が続いている.
自殺は追い込まれた末の死とされ,自殺者の75%にうつ病,統合失調症,アルコール,薬物依存などの精神疾患がありながら,未治療者が多いと考えられている(図1).そのため,自殺予防には精神疾患の早期発見,治療が重要なポイントになる.
うつ病の症状として多い不眠は,本人や周りから気づくことのできる症状であり,内閣府は「2週間以上続く不眠はうつのサインかも」といったフレーズの睡眠キャンペーンを自殺対策に取り入れ,うつ病の早期発見,治療を促す取り組みを行っている.
また,睡眠薬代わりの寝酒は,睡眠の質を悪化させるばかりでなく,連用しているとアルコール依存症が発症しかねない.
保健医療従事者は,心身の健康に害を及ぼす,不眠,うつ,アルコールの関係を正しく理解し,業務を行いたい.
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