特集 高齢者の事故
高齢者の熱傷
春成 伸之
1
,
飯田 美奈子
2
,
平野 真美
2
1横浜市立大学附属市民総合医療センター高度救命救急センター
2横浜市立大学附属市民総合医療センター看護部熱傷病棟
pp.607-610
発行日 2011年8月15日
Published Date 2011/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102181
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はじめに
高齢化社会の到来は,将来の医療を考える上で,最大の懸案事項である.どの疾患においても,高齢者であることは,予後不良を予測する最大因子と考えられる.
われわれは日々,熱傷診療に従事しているが,高齢者熱傷については,年齢に大きく依存する生命予後,治療対効果の悪さ,絶望的な社会復帰という大きな壁に直面している.今後高齢化が進むにつれ,高齢者熱傷患者が多くなることは必然的であり,加齢に挑戦するような現状の治療戦略では,突破口は見い出せない.そこでわれわれは発想を転換し,高齢者から熱傷を予防しようと考え,施設の近辺で高齢者熱傷の予防活動を展開している.
本稿では,高齢者熱傷の原因,特徴,治療の問題点,予後について概説し,高齢者熱傷予防の可能性について述べる.さらに,われわれが行っている高齢者熱傷の予防活動について,ここに報告する.
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