連載 人を癒す自然との絆・21
日本初の動物介在矯正プログラム
大塚 敦子
pp.314-315
発行日 2011年4月15日
Published Date 2011/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102084
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島根県浜田市には,民間資金と経営ノウハウを導入したPFI刑務所(Private Finance Initiative)の島根あさひ社会復帰促進センターがある.2008年10月に開所したこの官民協働型刑務所では,これまでにない斬新な矯正プログラムがいくつも展開されているが,そのひとつとして注目されているのが,盲導犬パピーの育成プログラムである.つまり訓練生(島根あさひでは受刑者のことをこう呼ぶ)がパピーウォーカーとなり,日本盲導犬協会から生後2~3か月の盲導犬候補の子犬を預かって約10か月間育てる,というプログラムだ.私はアドバイザーとしてこのプログラムにかかわっていて,日本にいるときは毎月浜田に出掛けている.
アメリカの刑務所では介助犬訓練など動物を介在した矯正プログラムなどがあちこちで行われているが,日本にはこれまでひとつもなかった.それが,2009年4月から日本初の試みが始まり,この原稿を書いている1月末現在は,ちょうど2期目のプログラムが終了したばかり.元気いっぱいに育ったパピーたちは,まもなく盲導犬になるための本格的な訓練に入る.これは訓練生の更生のためのプログラムというだけではなく,不足している盲導犬を一頭でも多く視覚障害者のもとに送り出すための大切な社会貢献事業でもあるのだ.1期目は11人の訓練生が3頭のパピーを,2期目は30人が5頭を育てた.
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