トピックス
認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者のための支援マニュアル
荒井 由美子
1
,
水野 洋子
1
1(独)国立長寿医療研究センター研究所 長寿政策科学研究部
pp.310-312
発行日 2011年4月15日
Published Date 2011/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102083
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認知症の進行は,記憶,視空間認知,見当識等の患者の身体機能に大きな影響を及ぼすことから,認知症高齢者が,自動車運転を安全に継続することが困難であるのは明らかである.一方,われわれの生活において,自動車を移動手段とする広範に亘る日常的活動,あるいは,自動車優先の交通環境を鑑みると,運転を中止することが,運転者およびその家族に,様々な影響を及ぼし得るであろうことは容易に想像がつく.したがって,認知症高齢者の「地域における自立した生活」を確保するためには,交通事故のリスク低下に努めるのみならず,自動車運転によって支えられてきた認知症高齢者および家族の日常生活をどのように維持するのかについても含めて考えていかねばならない1).
このような状況を鑑みて,われわれは,「認知症高齢者の自動車運転に対する社会支援のあり方」について検討を行う必要があることを痛感し,調査研究を企画したところ,折しも厚生労働科学補助金による研究事業(H19-認知症-一般-025:研究代表者 荒井由美子)を行う機会を得た.当該研究事業においては,社会医学的および精神医学的観点から,認知症が原因となる運転時のリスク,運転継続が望ましくない状態になった場合の対応など,認知症高齢者の運転に際する様々な課題とその社会支援策に係る検討を行った2~9).
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