特集 現場が求める保健師教育
職能団体から見た保健師卒前教育のあり方
井伊 久美子
1
1日本看護協会
pp.561-565
発行日 2010年7月15日
Published Date 2010/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101840
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
看護教育制度改革の必要性
「保健師助産師看護師法及び看護師等の人材確保の促進に関する法律を一部改正する法律案」が平成21年7月9日,第171回通常国会の衆議院本会議において全会一致で可決成立し,22年4月より施行された.この法改正は保健師,助産師,看護師の基礎教育の年限延長・充実であり,保健師助産師看護師の国家試験受験資格の改正は60年ぶりである.具体的には,看護師の国家試験受験資格として「4年制大学を卒業した者」が1番目に明記され,4年制大学卒業が基本となることが打ち出された.保健師・助産師についても,国家試験受験資格としての教育年限が6か月以上から1年以上に延長され,教育内容の充実が図られることとなった.看護職能団体としては,社会のニーズに対応するために看護基礎教育改革の必要性から,教育制度として検討し,法改正の実現に向けて取り組んできた.
少子高齢化,疾病構造の複雑化や医療の高度化,チーム医療の推進などにより,看護師に求められる能力や需要は増大している.しかし,看護師基礎教育においては,抜本的改革は行われず,教育年限は60年近くそのままのため,実際のカリキュラムは超過密な状態であり,それでも実践力につながる基礎教育内容は十分ではないと指摘されていた.新人看護師の看護実践能力と医療現場の期待する能力とが大きくかい離し,医療安全という観点から問題であるばかりか,1年以内に1割近くの新人看護師が早期離職をするという,深刻な事態を招いている.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.