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職能団体と政治活動
所沢 綾子
1
1編集部
pp.10
発行日 1959年8月10日
Published Date 1959/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201915
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6月16日名古屋で開かれた日本看護協会34年度通常総会は,協会長林塩氏の参議院議員選挙惜敗をめぐつて相当の紛争が予想された.しかし当日は予想よりスムースにことが進行し,約2時間半の討議の末,あつさりと3年後の参議院議員選挙に協会の代表者として林塩氏を国会に送り出すことを決定し,また協会が別に政治団体を作ることを決定した.
しかしあつさり進行したことは,そのまま満場一致の賛成と考えていいだろうか.同協会から,中政連をバックにして立候補した井上なつゑ氏によつて,票が割れたことも惜敗の原因ではあつたが,その前に,協会自体が会員に政治的なものの考え方について,教育をしてこなかつたこと,今度のことが下部からの要求として盛り上らなかつたことを,協会の幹部は真剣に考え,今後の具体的な方針として打ち出していかなければならないのではないか.しかもあの場の雰囲気は,懐疑的な立場の人人にとつて,決して発言しやすいものではなかつたように思われる.これらの人々を浮き上らせ,遊離させてはならないと思う.民主的な組織のあり方として,常に下部組織の意識を敏感に掴み,冷静に対処していく必要があろう.今回の総会決定事項も繰り返し反芻し考え方をまとめて行くべきであろう.そうした意味も含め,また私達の考え方を確かめるために朝日新聞論説委員の伊藤昇氏に「職能団体と政治活動」についての御意見をお伺いしてみた.
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