連載 地域保健従事者のための精神保健の基礎知識・3
精神保健と公衆衛生学/精神医学
竹島 正
1
,
松本 俊彦
1
1国立精神・神経センター精神保健研究所
pp.236-239
発行日 2010年3月15日
Published Date 2010/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101760
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はじめに
本連載の第1回では精神保健の定義として,“精神保健とは,「共に生きる社会」の実現の基本理念のもと,社会に起こるさまざまな問題について,精神保健の基本である人間の理解,人間の行動の理解を踏まえ,その実態と関連する要因を明らかにしつつ,社会との協働によって解決を図り,社会をよりよいものにしていく活動である”と述べた1).また第2回では精神保健の実践としての地域精神保健活動の発展の経緯について述べた.精神保健は,公衆衛生学の実践である公衆衛生行政の一部であって,精神保健の歴史は,しばしば精神保健福祉施策発展の歴史として語られる.また精神保健は,精神医学,心理学,社会学,社会福祉学等の学際的な研究をもとに発達してきたが,精神医学とその実践である精神医療および関連領域の影響を最も強く受けてきたことは言うまでもない.
本稿では,公衆衛生学,精神医学の2つの学術領域における重要な概念と,これらの領域における精神保健の捉え方をもとに,精神保健の現在および将来について考察する.
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