特集 公衆衛生再考
ニュー・パブリック・マネジメント(NPM)の理論と実際
山本 啓
1
1東北大学大学院情報科学研究科政治情報学分野
pp.207-211
発行日 2010年3月15日
Published Date 2010/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101753
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ニュー・パブリック・マネジメントはほんとうに死んでしまったのか?
ニュー・パブリック・マネジメント(New Public Management,以下NPM)という言葉は,クリストファー・フッドが,1970年代と1980年代において,イギリスをはじめとするウェストミンスター諸国やアメリカの行政過程,政策過程がかなり似通った類型を示していたと考え,そのことを表現するために用いはじめたものである1).
フッドは,1980年代半ばに行われた中曽根行革のうち教育改革についての著作もあり,日本の新幹線が大のお気に入りで,それに関する本も書いている.だが,NPMについてはかなり評価が辛く,大きなパラダイム・シフトをもたらしたわけではないと考えてのことだと思われるが,すでに1990年代のはじめには,この手法があらゆる分野に適用できるのかという疑問を投げかけていた2).そして,2000年代の半ばになると,NPMは,半ば宗教的な熱狂を持って迎えられたかと思えば,その一方では非難ごうごうといった扱いを受けてきたが,すでに古くなりかけているのではないか,パラドックスがもたらされはじめているのではないか,その原因についてきちんと議論がなされ,確証されなければならないと主張するようになった3,4).
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