特別寄稿
日本版パブリックヘルスを求めて(下)―〈パブリックヘルス〉と明日の社会
荘田 智彦
pp.235-238
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100723
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
“公的責任”と行政の責任
国政レベルで唱導された「変革の時代」の中身の1つが〈大きな政府から小さな政府へ〉でした.併せて,「地方の時代」と言い「住民主体」や「官民協働」の掛け声も地方政治を席巻していき,権限の委譲や業務委託は保健事業にも及んできました.しかし,かくもやすやすと保健事業の業務委託が民間事業者に配分されていくのも,出すほうも受けるほうも,ことが国民(住民)の安全安心を保障する仕事を公に代行するという自覚はなかったからだと思います.しかし行政がアウトソーシングしても,ことがあればその責任は出した側の首長の責任になります.
実際,首長インタビューの仕事の期間中も,傍らで,もっとも基本的な住民の生存権に触れる公衆衛生分野でも,公の管理責任を問われる事件や事故が相次いで起こっていました.耐震偽装の建築確認の問題や,港区公営アパートで起きた安全管理の問題,埼玉県ふじみ野市で起きた市営プールの排水口事故など,各地で,インタビュイーと同じ立場の首長さんがテレビカメラの前で,深々と謝罪の首を垂れています.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.