特集 自然毒食中毒
フグ毒による食中毒
荒川 修
1
,
谷山 茂人
2
,
高谷 智裕
1
1長崎大学水産学部
2長崎大学大学院生産科学研究科
pp.323-327
発行日 2009年5月15日
Published Date 2009/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101548
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
日本人の多くはフグに致死的な毒があることを知っている.にもかかわらず,昔からフグを好んで食べ,独自のフグ食文化を築き上げてきた.しかしながら,これによる食中毒も多発したため,1983年12月に厚生省(現厚生労働省)は「フグの衛生確保について」の通知を出して食用にできるフグの種類と部位,採捕海域を明文化した.以後,専門店での事故はほとんどなくなったが,素人が自分で釣ったフグや知人から譲り受けたフグを自ら調理し,肝臓や卵巣などの有毒部位を食べて中毒する事例が未だに後を絶たない.
本稿では,フグ毒の性状,フグ毒を持つ魚介類の種類や部位,フグによるヒトの中毒事例などについて解説するとともに,最近問題となっているフグ以外の魚介類によるフグ毒中毒,ならびにフグ毒とは異なる毒によるフグ中毒について紹介する.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.