特集 介護予防―3年間の検証から
地域における介護予防事業の実際とその評価
①介護予防における保険者の公的責任―和光市の取り組み―効果的な介護予防の展開は事業従事者のパラダイムシフトがポイント
東内 京一
1
1和光市保健福祉部長寿あんしん課
pp.253-259
発行日 2009年4月15日
Published Date 2009/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101531
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平成18年4月からの改正介護保険法により予防重視型システムの転換が図られ,より効果のある政策的な介護予防事業が求められた.基本的なスタンスとして,介護予防というキーワードを高齢者はもとより,関係住民にどれだけ周知理解していただくか.何より介護保険事業に従事する市町村職員および介護保険に関係するサービス提供事業者の理解が大切だった.今本稿を書きながらここ数年の全国的なプロセスを考えてみると,今回の改正は関係者にとって激変だったと思う.介護というキーワードに,「身の回りのお世話」や「家事援助」という行為が先行し,さらに依存が生まれ,介護保険サービスを利用する高齢者やそれをマネジメントするケアマネージャー,サービス提供者ならびに市町村の担当職員も,利用者本位となる自立支援の本質があまり追及されないまま過ぎてきたと思う.特に軽度要介護認定者の増加はその要因が大きいと考えられる.今回の平成18年度からの制度改正で画期的であったことは,介護予防サービスの導入を機会に,自立支援のあり方と本質を改めて考えることとなり,このことが介護予防の理解と推進における大きなポイントとなった.
和光市が平成13年から独自に取り組んできた介護保険法の保健福祉事業として組み込んだ介護予防事業は,「介護保険はサービス利用が目的ではない,介護保険は自立する手段としてサービス利用の目的がある」ということである.これは,ハイリスク高齢者(現在の特定高齢者),要支援および要介護度1から5までに共通する認識である.
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