特集 介護予防―3年間の検証から
厚生労働省における介護予防事業の効果等の評価と今後の展望
天本 健司
1
1厚生労働省老健局老人保健課
pp.248-252
発行日 2009年4月15日
Published Date 2009/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101530
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介護予防の取組の重要性について
介護や社会的支援が必要な人が,尊厳を保持し,その能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように,必要な保健医療サービスと福祉サービスを行うことを目的として,平成12年に介護保険制度が開始された.その後,制度が定着する一方で,当制度運営に当たっての課題も多く出てきている.
平成12年4月から平成20年4月までの8年で,65歳以上の被保険者数(第1号被保険者数)は,2,165万人から2,757万人と約27%(約588万人)増加し,要介護および要支援認定者は,109%(約237万人)と,被保険者数の増加率を大幅に超える割合で増加している.その内訳として要介護度別で認定者数の推移を見ると,要支援・要介護1の認定者数の増加が大きい状況が見て取れる(図1).またそれに伴い,介護保険財政としては,平成12年度に3.6兆円の実績であった介護保険の総費用が,平成20年度予算では7.4兆と,年10%を超える伸び率を示している.その動きに応じて1号保険料も第1期(平成12~14年度)の2,911円から第3期(平成18~20年度)の4,090円へと約40%も増加している現状があるが,今後10年間で,現在約2,500万人の高齢者人口が約3,500万人と1,000万人増加し,その後も高齢者数は横ばいで推移する見通しである状況の下では,保険財政が今後も引き続き厳しいことが予想されている.
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