調査報告
家庭における受動喫煙曝露状況に関する調査―受動喫煙をゼロにする対策を考える
纐纈 朋弥
1
,
石原 多佳子
1
,
玉置 真理子
1
,
後閑 容子
2
,
大和 浩
3
,
本多 融
3
,
小林 鈴香
4
1岐阜大学医学部看護学科地域看護学分野
2摂南大学看護学部(前・岐阜大学医学部看護学科地域看護学分野)
3産業医科大学産業生態科学研究所健康開発科学研究室
4郡上市役所健康福祉部健康課
pp.518-523
発行日 2012年6月10日
Published Date 2012/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101892
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■要旨
現在,わが国では「健やか親子21」において,妊娠中の喫煙率,育児期間中の両親の自宅での喫煙をなくすことが目標に挙げられ,各自治体でその取り組みがされているところである。しかし,家庭内での受動喫煙防止対策の取り組みは十分とはいえない状況である。
本研究の目的は,妊産婦や乳幼児が最も受動喫煙を受けやすい場所である家庭における受動喫煙曝露の実態について実測データを用いて検証することである。受動喫煙曝露の指標には,死亡率との関連が認められており,受動喫煙曝露濃度を示す指標として世界で標準として用いられている微小粒子状物質(以下,PM2.5)による評価を用いた。
2011年5月に岐阜県郡上市において喫煙者のいる2つの家族に協力を得,家人(喫煙者)が日常的に喫煙している場所(キッチンの換気扇の下,ベランダ,屋外)および家人が日常過ごす居室(非喫煙場所)における喫煙前後のPM2.5の連続測定を行い,受動喫煙曝露濃度の評価を行った。また,タバコ煙の動きを視覚的にとらえるためにレーザー光源可視化装置を用い,それをビデオ撮影し検証を行った。
本研究の結果より,家庭で一般的に行われている受動喫煙防止対策では同居する家族の受動喫煙は防止できないことが明らかとなった。受動喫煙を完全に防止する対策は,家庭内だけでなく,ベランダや家屋の周囲を含む全面禁煙である。今後,乳幼児や妊産婦などがタバコの健康被害を受けやすい家庭内での受動喫煙防止対策を推進していく必要性が示唆された。
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