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子どもの心の診療ネットワーク事業に至る経緯
1.「子どもの心の診療医」の養成に関する検討会
近年の発達障害を中心とする子どもの心の診療の需要に比べ,対応できる医師が限られており,専門医の初診の待ち時間が長くなっているなどの弊害が出ていることから,厚生労働省雇用均等・児童家庭局では,平成17(2005)年3月より平成19(2007)年3月まで,「子どもの心の診療医」の養成に関する検討会にてその対策の検討を行った.なお,平成16(2004)年度策定の「子ども・子育て応援プラン」において,子どもの心の健康に関する研修を受けている小児科医,精神科医の割合を100%にするという数値目標があげられ,「子どもの心の問題に対応できる小児神経科,児童精神科等の医師,保健師等の養成を図るとともに」という目標が掲げられたこともその基盤となっている.検討会は,有識者の他,関連する学会,医師会や医会,協会,医学部長病院長会議などの代表も参加し,どのようなフレームで考えるべきかの検討が行われた.小児科系の医師と精神科系の医師で診方や意見にかなりの差が生じることもあったが,それを乗り越えて,合同で報告書を作成できたことは大きな意義があったと考えられる.
平成19(2007)年3月に完成した報告書1)では,図1のごとく,「子どもの心の診療医」を①一般の小児科医・精神科医,②子どもの心の診療を定期的に行っている小児科医・精神科医(子どもの心の診療をサブスペシャリティーとしている小児科医・精神科医),③子どもの心の診療に専門的に携わる医師の3段階に関してその育成を考えている.その背景には,一般小児科医や精神科医も子どもの心の問題にある程度の対応をして,必要に応じて専門的な医師に紹介する技術を持っていただくこと,そして,紹介先である専門的な医師の技術向上を目指す必要があると考えられたことがある.
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