視点
わが国の予防医学の戦略をどう構築すべきか?
坂田 清美
1
1岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学
pp.516-517
発行日 2008年7月15日
Published Date 2008/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101362
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平成20年4月より,新しい医療制度がスタートしている.各保険者には40歳以上75歳未満の被保険者とその被扶養者に対し,特定健診・特定保健指導が義務づけられた.この制度は健康日本21の中間評価において,肥満者が増加し,糖尿病患者および予備軍が増加し,野菜の摂取不足は改善されず,歩数はむしろ減少していたというショッキングな事実を踏まえ,より確実な予防効果を上げるための方策として導入されたものである.メタボリックシンドロームに特化した形で予防効果を上げることをねらった政策である.
一方,介護保険制度では,平成12年度の導入以後,要介護者の急増により,平成17年度より「介護予防」なる政策を導入している.介護の重症化防止に主眼をおいた政策となっている.また,保健分野では,市町村を中心として従来から脳血管疾患や心疾患の予防のため高血圧管理,血糖管理,脂質異常の管理を実施している.「寝たきり」の約3割は脳血管疾患が原因であり,低下した筋力を維持向上させるプログラムはあってしかるべきとしても,本質的に目的が異なる訳ではない.
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