特集 自閉症・アスペルガー症候群・LD・ADHD―母子保健事業の課題と期待
「軽度」発達障がい者に対する小児医療現場の現状について
東條 惠
1
1新潟県はまぐみ小児療育センター診療部
pp.281-284
発行日 2008年4月15日
Published Date 2008/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101295
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筆者は,小児科を2年研修後,小児神経科で5年研修をした.その後20年前に現在の職場に来てから,日々の診療で児童精神科領域のケースが漸増し,現在は質量とも圧倒的になった経緯を持っている.多くの小児神経科医は同様のコースだろう.広義の発達障がい児対象の療育センターの小児(神経)科医は,とりわけそうだろう.
理由は以下である.当方のような施設には,すべての発達障がい児が受診する.発生頻度上,脳性まひは0.2%,てんかんは児世代で0.3~0.5%と言われ,一方自閉症スペクトラム(以下,自ス)を1%強としても,てんかんや脳性まひに比し数倍なりの発生頻度と,数的に圧倒的違いがある.自スの半数0.5%強が,知的障がいのないアスペルガー症候群や高機能自閉症,ないし特定不能といわれる典型的でない淡いタイプの人などとされる.これに3~5%とされる注意欠陥/多動性障害(ADHD)が加わる.発生頻度からは,小児神経領域というより,児童精神領域の診断名で語られる子どもたちが多い中で,そして保育や学校現場なりで気づかれる中で,これらの児の受診が増加した.広汎性発達障がい=自ス・知的障がい・境界知能・学習障がい・発達性協調運動障がい,などである.中でも,数や質的に問題になるのは,自スである.次にADHDで,その次に知的障がいや境界知能,そして学習障がいである.ADHDは発生頻度が多いとされる中でも,病院等にたどり着かない例が多いと思われ,受診者は自スに比し少ない.
今回,精神科ベースで育っていない筆者が,この間の経験を書き留める機会をいただいた.論点や言葉遣いを含め,ご批判いただければ幸いである.
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