特集 自閉症・アスペルガー症候群・LD・ADHD―母子保健事業の課題と期待
軽度発達障害者に対する特別支援教育の現状と課題
西牧 謙吾
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1独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
pp.271-276
発行日 2008年4月15日
Published Date 2008/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101293
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特殊教育から特別支援教育へ
1.特別支援教育とは
特別支援教育元年は,平成19年4月1日文部科学省初等中等教育局長通知により始まった.ここで,元年と言われる所以は,学校教育法を改正して,幼稚園,小中学校,高等学校でも,特別支援教育が本格的に始まったからだ.
特別支援教育とは,基本的に理念である.特別支援教育コーディネーター,個別の教育支援計画など,新しいシステム論は展開されたが,学校組織そのものが変わったわけではない.上記通知のはじめには,「特別支援教育は,障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち,幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し,その持てる力を高め,生活や学習上の困難を改善又は克服するため,適切な指導及び必要な支援を行うものである.また,特別支援教育は,これまでの特殊教育の対象の障害だけでなく,知的な遅れのない発達障害も含めて,特別な支援を必要とする幼児児童生徒が在籍する全ての学校において実施されるものである.さらに,特別支援教育は,障害のある幼児児童生徒への教育にとどまらず,障害の有無やその他の個々の違いを認識しつつ様々な人々が生き生きと活躍できる共生社会の形成の基礎となるものであり,我が国の現在及び将来の社会にとって重要な意味を持っている」と書かれている.憲法と同じように,これを拠り所にして,教育を変革していくことが重要と考える.
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