視点
子と親に公衆衛生ができること
山縣 然太朗
1
1山梨大学大学院医学工学総合研究部社会医学講座
pp.82-85
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101255
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子どもが生まれたい場所
「天国の特別な子ども(Edna Massimilla作,大江祐子訳)」という次のような詩がある.ダウン症児の母親である作家が書いたものである.
会議が開かれました.地球からはるか遠くで.
「また次の赤ちゃんの誕生の時間ですよ」
天においでになる神さまに向かって天使たちは言いました.
「この子は特別の赤ちゃんで たくさんの愛情が必要でしょう.(中略)
ですからわたしたちは,この子がどこに生まれるか
注意深く選ばなければならないのです.
この子の生涯が幸せなものとなるように,どうぞ神さま,この子のために素晴らしい両親を捜して上げてください.
(中略)
やがて二人は,自分たちに与えられた特別の
神の思し召しを悟るようになるでしょう.
神からおくられたこの子を育てることによって.
柔和で穏やかなこのとおとい授かりものこそ,
天から授かった特別な子どもなのです」
この詩の「両親」を「社会」に置き換えると,今の日本は子どもが生まれたくない社会なのだと指摘されているようである.母子保健にかかわる者の1人として,自責の念に駆られるが,子どもが健やかに育つ社会の実現のために,子どもと親に公衆衛生ができることを考えてみたい.
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